はじめに
相場は単なる「チャートの上下」ではなく、流動性を求める大口参加者によって作られる“構造物”です。
上級者が安定して勝ち続けられる理由は、この「市場構造」を理解し、個人投資家が狩られやすいポイント──いわゆる“流動性狩り”を事前に察知できるからです。
今回は、FXを「ただのローソク足の集合体」ではなく、“巨大な参加者同士の攻防の場”として読み解くための思考法を解説します。
● 市場は「大口が注文を集める場所」を探して動く
為替市場は巨大でありながら、実際の値動きを作り出しているのはごく一部の大口参加者(銀行・ヘッジファンド・流動性プロバイダー)です。彼らは大量のポジションを持つため、「市場に流動性が集中する価格帯」を狙って注文を通します。
その“流動性の溜まり場”に個人の損切りラインが集中している場合、価格は一瞬だけその価格を突き抜け、流動性を吸収してから大きく反転する──いわゆるフェイクアウトが発生します。
これが一般的に「狩られた」と呼ばれる現象です。
● その狩りは偶然ではない
個人投資家はテクニカル教科書どおりの場所に損切りを置く傾向があります。
高値・安値の少し上/下、レンジブレイク直後、トレンドライン下抜け──これらはすべて大口から見れば「流動性ボックス」として利用価値のある領域。
重要なのは、この“意図的な狩り”は市場の仕組みであり、悪意ではないということです。
大口が大量注文を通すには、どうしても誰かの損切りを呑む必要があるからです。
● どこが「狩り場」になりやすいのか
特徴としては:
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直近高値・安値の上(下)に損切りが集まっている場所
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レンジの端のブレイク直後
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節目(キリ番)周辺
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市場参加者が共通の根拠を持つライン(例:200MA、抵抗線)
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ニュース直後のスパイク
これらのポイントに価格が急接近した時は、むやみに飛び乗らず「狩りなのか、本物のブレイクなのか」を見極める必要があります。
● 狩りの後の“本当のチャンス”を取る
上級者は、フェイクアウトの後の“本当の方向”でエントリーします。
例えば:
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高値を一瞬超える
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しかしすぐにローソク足が戻ってくる
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上ひげを作って確定
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ボラティリティが収束する
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本来の方向へトレンドが再開
これが最も勝率の高い瞬間です。
→ 「狩られた後の反転」こそ、勝てる地点。
● 流動性をマップとして見る
チャートは「値動きの結果」ではなく、
流動性がどこにあるかの地図 として見ていくと理解が深まります。
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どこに注文が溜まっているか
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どこで狩りが起きやすいか
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大口が求めるプールはどこか
これが読めるようになると、無駄な損切りが激減し、逆に「大口が動く方向」に乗れるようになります。
最後に
市場構造を理解することで、トレードは戦いから“読み解き”へと変わります。
大口がどこで流動性を探しているのかを察知できれば、あなたが狩られる側ではなく、流れに乗る側へと変わります。
今後の分析では、ただのラインではなく「そこに流動性があるか?」という視点を加えてください。
それだけで、勝率と期待値は大きく変わります。


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